2016年1月26日火曜日

骨髄由来間葉系幹細胞を用いた骨再生と顎裂閉鎖治療法の確立


口唇裂・口蓋裂(cleft lip and palate; CLP)は外表奇形の中でも比較的高率に発症する疾患であり、日本人における発生率については、400名~500名に1名の割合で発症すると報告されている。CLP患者の上顎骨顎裂部閉鎖には、学童期に自家腸骨移植が広く行われるが、腸骨採取時の外科的侵襲は若年の患者にとってきわめて大きな負担である。このため、採取時の侵襲が低減できる間葉系幹細胞(MSCs)を用いた骨再生医療の応用が期待される。また、顎裂部には多くの場合先天的な歯の欠損が見られ、再生骨への歯の人為的移動あるいは移植が必要となることが多いことから、再生骨において歯を維持するための生理的な骨代謝機能の早期獲得が望まれる。

我々はこれまでMSCsによる骨再生治療を試み、骨再生を誘導し、さらに矯正力による再生部位へ歯の移動が可能であることを確認することで、再生骨が正常な代謝機能を有することが明らかとした。現在、MSCsと血管新生および骨再生に関わる細胞との相互作用についての研究を行いながら、より信頼性の高い骨再生技術の確立を目指している。

http://home.hiroshima-u.ac.jp/orthod/index.html

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